シャネルスタイルの原型
20年代前後のシャネルは、私生活や恋愛も多彩をきわめ、イゴール・ストラヴィンスキー、パブロ・ピカソ、ジャン・コクトー、セルゲイ・ディアギレフ、ピエール・ルヴェルディなどの芸術家たちと親しい関係を結び、とかく伝説的な話題が多い。
この頃、黒とベージュを基調にして、シックで、実用性と機能性を備えたシンプルなチューブ・ラインのドレスを次々と発表。
例えば、ジャージーのテーラード・スーツ、カーディガン・スーツ、シュミーズ・ドレスなど。
なお、第1次世界大戦期に、真っ先にミリタリー・ルックを取り入れたのは、他ならぬシャネルである。
これらの作品を通じて、シャネルは、第1次大戦後の新しい女性像を明確にとらえた、シンプルで機能的なスタイルをアピール。
マスキュリン感覚をもって、20年代のモード界をリードした。
当時のシャネルの作風は、かなり論理的なもので、それまで単に飾りに過ぎなかったボタンやポケットに、現実的な役割を与えた。
また、シンプルで短いチューブ・ドレスの飾りとして作られた模造宝石の装身具「ビジュ・ファンテジ」は有名。
他にも、ふくらはぎ丈のパンタロン、「シャネル・ルック」とよはれるカーディガン・スーツ、ベルベティーンのジャケット、くるぶし丈のイブニング・ドレス、金属ボタンや大型フレームのサングラス、つま先で切り替えたベージュ×黒の底寸パンプス(シャネル・パンプス)、鎖と革のストラップで知られるキルティング・バッグ(シャネル・バッグ)など、100種類を超えるシャネル・スタイルは、今でも受け継がれている。
今日、シャネルの典型とされるスタイルの原型が、既にこの時期に形成されていたのである。